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出雲雄大「新型コロナを5類に」(2020/12/17放映)

2020年12月17日「報道ステーション」で放映された内容。

日本赤十字社医療センター 呼吸器内科 出雲 雄大(いづも たけひろ)先生のお話。

「新型コロナウイルスを指定感染症から外して5類まで下げるべき」という主張。

「新型インフルエンザ等感染症」に変更されました

新型コロナは、2021年2月13日より「指定感染症の2類相当」から「新型インフルエンザ等感染症」に変更されました。この変更により、より厳しい措置(協力命令・入院勧告・罰金・政令による1類相当の措置等)が可能になりました。

ブログ主の見解

私(ブログ主)は出雲先生の「5類へ」という考えに賛成しているわけではありません

出雲先生の主張は、デマッターがいい加減な理由で「5類へ」と主張しているのとはまた別だとは思いますが、先生の主張は「医療崩壊を防ぐために、みなさん犠牲になってください」という切羽詰まった事情からくる主張(トリアージ)だと理解しています。先生の主張は、医療崩壊を防ぐことと引き換えに、患者の急変に対応できずに見殺しにする危険性・家庭内感染ひいてはさらなる感染拡大を招く危険性をはらんでいると考えます。

また、出雲先生は2019年までのインフルエンザと2020年の新型コロナを同列に置いて比較するなど、首をかしげざるを得ないこともおっしゃっています。これはおかしいと思います。

いずれにしろ、「5類にすれば医療崩壊しない(しなかった)」という主張そのものが間違っていると思いますが。

「感染症の分類を5類にすれば医療崩壊しなかった」はデマ

というわけで、この記事はあくまでも参考資料という意味で残しておくものです。

■富川悠太

医療現場のひっ迫を打開するためにはどうすれば良いのか。

日々ですね、最前線で新型コロナウイルスの治療にあたっている医師から提言があるということで、今日はですね、日本赤十字社医療センターの出雲雄大(いずもたけひろ)医師に出演していただきます。出雲先生、よろしくお願いいたします。

■出雲雄大(いづも たけひろ)

よろしくお願いします。

現在の状況

医療現場の現状について

■富川悠太

まず先生、今日と、今日では、新規感染者数822人と、大幅に過去最多を更新しました。この数字どうご覧になっていますか。

■出雲雄大

はい、基本的には検査数の増加というところもあるんですが、やはり感染の拡大が、残念ながら制御できていないということだと思います。

■富川悠太

先生まさに現場で治療の最前線にあたっていらっしゃいますけれども、病院はどんな状況なんですか、先生の病院は?

■出雲雄大

はい、当院ではやはり11月に入ってから患者さんが増えまして、12月になるとまぁさらに増えている状況ではあります。はい。重症者用のまぁ集中治療室と言われるベッドは6床のうちだいたい3から4床、中等症のベッドは25床のうち17-18床埋まっているというのが、あの、平均的です。

■富川悠太

そのかなり埋まっている・・・

■出雲雄大

まベッドは、はい、そうですね、ベッドは空いているようにまぁ聞こえるんですけども、やはりこう全部埋めてしまうと、院内で重症化になったときとか、感染が発生した場合に、どうしても対処できなくなってしまうというのがあるので、ま現場ではこれが今ギリギリの体制かなと思っています。

■森川夕貴

あのベッドももちろんですけれども、人手もね、なかなか足りないというお話よく耳にしますし、出雲先生も含めて医師の方々、看護師の方々、もう疲労だいぶたまっていらっしゃるんではないでしょうか?

■出雲雄大

はい。ま私達の日本赤十字社医療センターは赤十字の中でも中心的な病院です。ですのでスタッフの人数やメンタルケアの体制というのはかなり整っているんですね。

で第一波のときにメンタルヘルスの調査をしたわけですけれども、そのとき約30%ぐらいの職員が鬱状態であるというふうなことを英語の論文で発表したわけです。

ただこれまで私達の病院では延べ226人の入院患者さんを拝見しています。ですので、第一波、第二波、第二波の頃に比べますと、コロナに対しても経験が蓄積されておりますので、当院ではよく報道されているような離職者はほとんど出ていないというのが現実です。

■富川悠太

まさにいま医療現場はひっ迫している状況ですけども、これを打開するためには、先生はですね、新型コロナウイルスを指定感染症から外すべきだという主張をされているんですね。それはどういうことかなのか、このあとお話を伺ってまいります。

(コマーシャル)

新型コロナ感染症の現在の分類

「新型インフルエンザ等感染症」に変更されました

新型コロナは、2021年2月13日より「指定感染症の2類相当」から「新型インフルエンザ等感染症」に変更されました。この変更により、より厳しい措置(協力命令・入院勧告・罰金・政令による1類相当の措置等)が可能になりました。

ええ引き続きですね、日々最前線で新型コロナウイルスの治療にあたっていらっしゃいます出雲医師にお話を伺ってまいります。

で今日ですね、東京都は医療提供体制を最も深刻である「ひっ迫している」というレベルに引き上げました。じゃぁなぜここまで医療現場はひっ迫しているんでしょうか。原因の1つとして出雲先生が主張されているのが「新型コロナが指定感染症に指定されている」ということなんですね。

でこちらご覧ください。

感染症法に基づきまして主な感染症を危険度に応じて分類した表なんですが、最も危険度が高い1類にはエボラ出血熱やペストなど、2類には結核やSARSなどが位置付けられています。

で現在新型コロナウイルスはといいますと、1類から3類に準じた措置を柔軟に取れます「指定感染症」に位置付けられていまして、感染した場合の入院の勧告ですとか、従わない場合の強制入院、そして就業制限といったようにですね、1類や2類と近いような措置が取られているんですね。

で今日のですね、厚労省の有識者会議でこの指定感染症を1年間延長して、再来年の1月末まで指定を続けることが了承されました。

で先生はこの新型コロナウイルスを指定感染症から外して5類まで下げるべきだと主張されているんですけども、この新型コロナ、指定感染症に指定されていることによりまして、医療現場で、先生、どのような影響を与えているんでしょうか?

出雲先生の主張「5類にすべき理由」

■出雲雄大

ホテル療養できない人がいる

はい、陽性の患者さんといいますか、陽性の方は、基本的には入院や隔離というのが原則になります。でホテルや自宅療養というのもあるのですが、実際ホテルの療養というのは、先ほどもありましたように、65歳以上であったり、

基礎疾患がコントロールできてない、制御できていない持病のある方、そしてもう1つ、実は、食べ物のアレルギー、たとえばカニとか卵アレルギーなどがある方も、それぞれのお弁当が用意できないという理由で、ホテル療養はできないですね。

療養型の病院で陽性者が出ると基幹病院を圧迫

でまた私達は1番これが重要だと思ってるんですが、たとえば療養型の病院とかで陽性者が出ますと、感染症の指定病院や地域の救急の中心となっている、いわゆる基幹病院ていうところに転院するということになってしまいます。

これらが急性期の医療を担ういわゆる基幹病院という病院の診療を圧迫しているということになっているわけです。

■富川悠太

なるほどねー。

■森川夕貴

それに関連するお話ですと、さきほど小池都知事、70歳未満で基礎疾患を持っていない方は、もう入院ではなくてホテル療養などに切り替えていくんだという、そういう方針でいくんだというふうに発言をされていました。

ですから、いま現在も、入院されている方の現状をみていくと、その、無症状だったり軽症であっても、ある一定程度の状況を満たすと、もうみなさん入院している、入院しなければならないという状況ということですよね。

濃厚接触者は検査で陰性でも2週間自宅待機

■出雲雄大

その通りです。さらに、もう1つ問題なのが、いわゆる濃厚接触者というものに認定されますと、基本的には2週間自宅待機をしなければいけないんですね。

(富川氏がフリップを指さす)

それです。当院では1度53人が濃厚接触者になったことがありまして、全員にPCR検査をしたら、実は陽性者は1人だけだったということがあります。

■富川悠太

そうなんですね。

■出雲雄大

つまり53人ひく1人ですので、52人は特に何も症状もなく感染もしていないのに2週間働けない状況だったということなんですね。

そうしますと、当然のことながら、人員が足りなくなりますので、病棟を閉鎖したり、外来や救急、手術を止めたりしなければいけなくなりまして、そうすると、他の病院への負担が増えまして、悪循環になってしまうということがあげられると思います。

■富川悠太

こういったデメリットから、指定感染症から外すべきだと考えられているわけですけども、じゃぁ、5類まで下げたとしたらどのようなメリットがあるんでしょうか。

5類に下げるメリット

入院は重症患者が中心

■出雲雄大

はい、まず無症状の方や軽症の方というのは、自宅やホテル療養を徹底していただいて、入院はやはり重症の患者さんを中心にすべきだと思います。

濃厚接触者の洗い出しが不要(あきらめる)

そしていま濃厚接触者など、保健所等で洗い出しなどの作業をしていただいていますけども、そのようなマンパワーを、他に割いていくようにすべきだと私は思います。

たとえば、5類にさきほどあげられました、5類の季節性のインフルエンザというのは、例年日本では一千万人くらいの方がかかるわけです。そうすると約1万人くらいが亡くなっていますが、明らかにコロナより数が多いわけですけれども、現在言われているような医療ひっ迫ということが、毎年、たとえば昨年起こっていたかというと、そういうことは無かったと思います。

自宅療養中の容体の急変について

■富川悠太

あー確かに。ただね、これまでもね、指定感染症から外すという議論はありましたけれども、新型コロナの場合はインフルエンザのようにね、タミフルですとかリレンザなどのような薬はないですよね、でワクチンも日本ではまだです。

となると、感染者が自宅療養中に容体が急変してしまうんじゃないかという懸念などもありますけれども、いかがですか。

ベストでなくてもベターな方策を

■出雲雄大

はい、その意見も大変よく理解できます。しかしながら今医療がひっ迫しているという状況という認識であるならば、ベストでないとしても、よりベターな方策をとる時期にきているのではと現場で私は診療をしながら思います。

たとえば他の病気、たとえばインフルエンザや心筋梗塞の人が自宅で急変することは全くないのかということは、そんなことはないと思います。

パルスオキシメーター

で、確かに、あのさきほど富川さんがおっしゃったような心配事はあると思いますが、たとえば案としては、無症状や軽症の人は、自宅療養していただいて、指で酸素の飽和度を測る機械というのがあるんですけども、それを配ります。

(画面にオキシパルスメーターが映る)

たとえばそうですね。

新型コロナの診療の手引きというのがありまして、酸素飽和度が93、いまこれ97になっていますけれども、93%を下回ったら、入院して酸素吸入、そしてレムデシベルやデキサメタゾンなどで治療するというふうになっているわけです。

つまり自宅で療養していただいている際にも、93%よりも下回ったら、入院処置をとるというのが現実的ではないかと思いますし、たとえば、他には、アビガンが承認され外来で使用できるというようにもしなれば、入院病床のひっ迫はやわらぐんじゃないかと思っています。

■富川悠太

そのー、オキシパルスメーターみたいな、酸素飽和度を測るものがあれば、目安になるから、安心材料にもつながると。いうことで、ま、自治体や行政がそういうものを配れれば良いということになってきますよねぇ。

梶原さんはいかがですか?

自宅療養で感染拡大の懸念は?

■梶原みずほ

はいあの入院患者、これからどんどん選別していかざるをえなくなると思うんですけれども、神奈川県のように細かく患者さんを点数化して優先順位をつけていくっていうことで、まぁそういうことが必要になってくると思うんですが、一方でそうすると、入院できなくなって、ま、周囲に感染を広げてしまうんじゃないかという心配をする声もあるんですが、先生はどのようにお考えでしょうか?

感染拡大の阻止はあきらめる

■出雲雄大

はい、おっしゃる通りのご意見もあると思います。

ただ、本日さきほどニュースでもお伝えありましたが、東京都のモニタリング会見でもですね、すでに感染は広がっておりまして、感染経路が追えない陽性者が非常に多いということになっています。つまり、コロナに対するゼロリスクをとるかどうかという問題にいま現場はなっているんではないかと思っています。

ま、周囲に感染が広がるというのはですね、もはや止めようがないのではないかと思います。

ですので、かかったとしても、仮にその疾患になったとしても、亡くなる方や重篤な方をどう減らすかという考えにやはりシフトしていくべき状況かなと思いますし、このまま指定感染症のまま年末・年始、さらに寒くなる、さきほど雪の話もありましたが、1月・2月に突き進みますと、たとえば心筋梗塞や交通事故などの救急の患者さんを私達が治療できないようになってしまいます。

やっぱり現場としてはコロナだけではなくて、多くの国民のみなさんの健康と命を守るという意味でも、やはり、すぐそういうことを、改善できる方策、具体的な方策を、取りたいというのが思いです。

■富川悠太

まさに先生が最前線で待ったなしの状況だというのを実感されているからこそ、ベストではなくてもベターな方策を今はとるべきだと考えてらっしゃるということですね?

■出雲雄大

はい、そうです。

■富川悠太

ここまで最前線で治療にあたっていらっしゃいます出雲先生にお話を伺いました。出雲先生、ありがとうございました。