デマと知りながらデマを垂れ流している悪質かつ不審人物が多数います。騙されないように気をつけてください。

「新型コロナワクチンはIgAが増えないから意味がない」はデマ

デマの内容

  • 新型コロナワクチンは筋肉注射だから、接種してもIgA抗体は増えない! 意味がない!
  • 抗体検査もあてにならない!

と主張する人がいますが、デマです。

IgA抗体とは

気道などの粘膜に多く存在し、ウイルス感染そのものを防ぐために重要な働きをする抗体。

知りたかったのこれだ!
成程ね だから💉で免疫は出来ないし、採血の抗体検査はあてにならない訳だ。
よーく分かった


https://twitter.com/osugi_second/status/1433815936583094280

「新型コロナ第4波はワクチンの影響」元理研研究員が決死の告発! 眠っている遺伝子が目覚め、人体が進化も… そもそも、注射によるワクチン接種は、 粘膜免疫システムで重要なIgA抗体が作られず、 感染予防も集団免疫も獲得できません。


https://twitter.com/xcsvy/status/1437753735401246727

結論

  • mRNA新型コロナワクチンを接種すると(これまで注射では増えないと考えられていた)IgA抗体の量も増加することが確認されています。
  • mRNA新型コロナワクチンを接種すると、免疫グロブリンの80%を占める液性免疫の主役であるIgG抗体もしっかり増え、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぎます。
  • mRNA新型コロナワクチン(モデルナ)の接種後、鼻の粘膜や唾液中にもS-RBD IgG抗体が検出されています。注射のワクチンであっても、最終的には血液中の抗体以外の免疫も誘導されることが分かっています(例:肺炎球菌の結合型ワクチンなど)。
  • mRNA新型コロナワクチンによる感染予防効果は各方面の疫学的調査などにより認められています(デルタ株の影響である程度効果が落ちたとはいえ)。
  • mRNA新型コロナワクチンを接種した母親の母乳からも有意な量のIgA抗体が見つかっており、乳児をウイルスから保護すると考えられます。
  • mRNA新型コロナワクチン接種による抗体の増加を確認するには、一般的な抗体検査ではなく、中和抗体検査を行います。

詳細

感染そのものを防ぐにはIgA抗体が重要だが

感染そのものを防ぐには、体に侵入する経路、鼻や喉の粘膜で分泌される免疫であるIgA抗体(粘膜免疫)の働きが期待される。これに対して通常、呼吸器ウイルス感染症で、注射のワクチン接種によって誘導されるのはIgG抗体(全身免疫)だ。これに、感染予防効果が十分にあると認められた例はこれまでにない。
ワクチンはコロナ対策の「最終兵器」ではない──国立感染研・脇田所長に独占インタビュー(2020/10/22)

mRNAワクチンではIgG抗体だけでなくIgA抗体も増加

新型コロナウイルス感染症患者の血液を用いたこれまでの研究により、ウイルスの受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain: RBD)に対するIgG抗体を測定することがウイルス中和活性を最もよく表すことを明らかにしています(米国免疫学会雑誌「The Journal of Immunology」(5月15日号)にて発表)。

血液中のRBDに結合するIgG、IgM、IgA抗体をそれぞれ測定したところ、すべての抗体は接種後に上昇しましたが、特にIgG抗体は2回目の接種後に大幅に上昇することが明らかになりました。


ファイザー社の新型コロナワクチンで 2回目接種後に抗体が大幅上昇(藤田医科大学)


COVID-19治療薬開発の取組み 中外製薬株式会社 2021年8月26日(P.39)

査読前論文ではありますが、唾液中の特異的分泌型 IgA がファイザーのワクチンで 59%(22/37)、モデルナのワクチンで 88%(7/8)の被接種者に検出されることが報告されており、mRNA ワクチンでは筋肉内注射にも関わらず粘膜免疫が誘導される可能性が示唆されます。発症予防だけでなく感染予防にも一定の有効性がみられる疫学研究結果を支持する知見と考えられます。
一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会 COVID-19 ワクチンに関する提言(第 3 版)(2021年6 月16日)

メカニズム的には、細胞性免疫の刺激と、IgA抗体の誘導もあり、粘膜や体内での感染予防効果もあるはずであり、データの裏付けもある(治験データおよびイスラエルでの検討等)。
新型コロナウイルス ワクチンの基礎と原理 峰 宗太郎 2021年3月3日 新潟県医師会勉強会

The data demonstrate COVID-19 mRNA vaccines effectively induce spike antigen specific IgG and IgA and highlight marked differences in their persistence in serum.
Human IgG and IgA responses to COVID-19 mRNA vaccines

mRNA vaccine (CoronaVac) elicits mucosal IgA and IgG in the nasal epithelial lining fluid together with ELISA-detected anti-wild-type spike neutralizing antibodies as early as day 14 post vaccination.
Study on the mucosal and serological immune response to the Novel Coronavirus (SARS-CoV-2) vaccines

鼻の粘膜や唾液中にもS-RBD IgGを検出

い ま だ に 「新型コロナワクチンには感染予防効果はない」と言っている人がいますけど、疫学的なデータから感染予防効果は明白で、時間経過や変異ウイルスに対して効果が弱まる事はあっても「効果がない」は完全に誤りです。 また筋肉注射であっても鼻や口の粘膜に抗体(IgG)が出てきます
https://twitter.com/VaccineWatch/status/1421032734827302919

このプレプリント、あまり注目されていなかったように思うのですが、Modernaのワクチン接種後に、鼻の粘膜や唾液中にもスパイクタンパク質に対する抗体IgGが検出されており、ここからも「上気道に入ってきたウイルスに抗体が結合して感染自体を防ぐ」事が期待できます
Detection of persistent SARS-CoV-2 IgG antibodies in oral mucosal fluid and upper respiratory tract specimens following COVID-19 mRNA vaccination
https://twitter.com/VaccineWatch/status/1421032737222258688

また上気道に抗体が存在している事は、飛沫に含まれるウイルスを中和する可能性が考えられ、結果として他人に移すことを抑制する効果も十分期待できます(というか複数の疫学データから感染伝播を抑制する効果はあると言えそうです)。
https://twitter.com/VaccineWatch/status/1421032738736381959

「筋肉注射だから呼吸器感染症に効かない」は本当?新型コロナワクチンに関する疑問を専門家に聞きました(BuzzFeed News)

新型コロナウイルスのワクチンは筋肉内注射だが、発症予防効果や重症化予防効果などが確認されており、世界各国で接種が進んでいる。

免疫学的なメカニズムからしても、ワクチンの接種経路に関わらず最終的には血液中の抗体以外の免疫も誘導されます。海外で利用される経鼻投与する弱毒生インフルエンザワクチンは、筋肉注射の不活化インフルエンザワクチンと比較して優位性は認められておらず、シーズンによっては有効性がより低いと評価されることもあります。また、麻疹は非常に感染力が高い呼吸器感染症ですが、ワクチンにより非常に高い予防効果が得られます。誘導される免疫は、血液中の抗体に限らずT細胞等の細胞性免疫等も含まれるため、肺炎球菌の結合型ワクチンでは気道粘膜に病原体が定着することを防ぐ効果もあることなどが知られています

https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/covid-19-vaccine-factcheck

母乳中のIgA

RNAワクチンを2回接種後1週間目には、母乳中の新型コロナウイルスに対するIgAがピークに達するようです。IgAは新型コロナウイルスの体内への侵入を防いでくれる効果があります。ワクチンを接種を受けても「安心して赤ちゃんに母乳を与えれる」ことを教えてくれています。
久留米大学

母乳中のIgAは1回目接種後2週間で有意に上昇し、61.8%に検出された。 2回目接種後1週間では86.1%であった。フォローアップ期間中も平均レベルは上昇を維持し、6週目では65.7%に検出された。IgGは、4週後に91.7%が陽性となり、2回目接種2週後では97%に検出された。研究期間中、母子ともに重篤な有害事象はなかった。

小児はコロナウイルス間の交差免疫によりSARS-CoV-2にから保護されているが、乳児はその限りではない。妊婦へのCOVID-19ワクチン接種が勧められているが、生児への保護能もあることが初めて示唆された。
イスラエルでCOVID-19ワクチン接種母の母乳にIgA・IgG抗体を確認

抗体検査と中和抗体検査

今まで行われてきた「抗体検査」は主にウイルスの遺伝情報を収納しているヌクレオカプシド(N)というタンパクに対する抗体(の検査[by ブログ主])であり、既感染の判定には有用であるものの、ワクチン接種後の抗体獲得の判定には不適でした。

スパイクタンパク質(S)に対する抗体は、新型コロナウイルスへの既感染およびワクチン接種後の抗体獲得を示す良い指標であり、ウイルスとヒト細胞との結合を阻害する中和抗体としての活性を有すると考えられています。三田国際ビルクリニックでは今まで既感染を正確に判定するヌクレオカプシド(N)に対する抗体検査Elecsys Anti-SARS-CoV-2(ロシュ社)を実施していましたが、新たにスパイクタンパク質(S)に対する定量的なIgG抗体検査 ARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott社)の実施を始めましたのでご案内いたします(2021年5月25日)。

【ワクチン接種前後】スパイクタンパク抗体(中和抗体)検査(三田国際ビルクリニック)
新型コロナウイルスS抗体検査(GME医学検査研究所)
ワクチン後の中和抗体検査について(医道五十三次クリニック)
抗体検査、IgMとIgGの違いって?(TOKYO BUSINESS CLINIC)
COVID-19の抗原・抗体検査について(NIID)

検査法ごとの抗体検査の感度・特異度

  • 同⼀種類の検査でも製品や作成した研究室によって⼤きく異なりうる
  •  ⼀般に
    • CLIA(化学発光酵素免疫測定法:chemiluminescent immunoassay)は感度・特異度ともに⾼い
    • ELISAは感度・特異度は製品ごとに⼤きくばらつきあり
    • 抗体キット(イムノクロマト法:Lateral flow immunoassay)は感度は⽐較的低く、特異度はまずまず

COVID-19の抗原・抗体検査について(P.21)(NIID)
ヒト Anti-SARS-CoV-2 S-RBD protein IgG 抗体測定ELISAキット
ヒト Anti SARS-CoV-2 S-RBD protein トータル抗体(IgG and IgM)測定ELISAキット(コスモ・バイオ株式会社)

用語

ACE2(受容体)…ACE2 (receptors)。アンジオテンシン変換酵素2(Angiotensin-converting enzyme 2)。人間細胞の細胞膜に存在する膜タンパク質。新型コロナウイルスなどが細胞に侵入する際の入り口(ウイルス受容体)になることでも知られている。(より詳しくはこちら

Ig…ImmunoGlobulin、免疫グロブリン。血液や体液中にあって抗体としての機能と構造を持つ蛋白質の総称。大きく分けて、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があり、分子量、働く場所・時期に違いがある。(免疫グロブリンについて)(免疫グロブリンとは~体の中での働きと免疫グロブリン製剤について~(やさしいLPS)

  • IgA
    人の腸管、気道などの粘膜や初乳に多く存在し、局所で細菌やウイルス感染の予防に役立つ。IgAは血液中ではY字型をしているが、粘膜や初乳中ではY字構造が2つ結合した形をしている。IgA1、IgA2 が見つかっている。
  • IgM
    細菌やウイルスに感染したとき、最初に作られる抗体。IgMが作られた後に、本格的にIgGが作られる。このため、血中のIgMを調べる事で今どんな感染症にかかっているかが分かる。IgGより効果的に病原体に結合すると考えられている。
  • IgG
    血液中に最も多く存在し、量的には免疫グロブリン全体の約80%を占める。液性免疫の主役。細菌やウイルスなどと結合し、それら病原体の動きを止めます。これを「中和」と呼びます。IgG抗体の持続期間は対象の細菌やウイルスによって異なります。このIgGの検査にはSタンパク質を標的としたもの、Nタンパク質を標的としたものがあり、コロナウイルスに感染した場合はSタンパク質とNタンパク質両方mRNAワクチンで抗体を獲得した場合はSタンパク質のみが陽性になります。IgG1、IgG2、IgG3、IgG4 が見つかっている。
  • IgD
    量的にも少なく、その役割はよくわかっていない。
  • IgE
    免疫グロブリンとしては最も量が少なく、喘息〔ぜんそく〕や花粉症などのアレルギーを起こす抗体。

NAb…Neutralizing AntiBodies、中和抗体。

RBD…Receptor-Binding Domain、受容体結合領域

S-protein RBD / S-RBD…スパイクタンパク質受容体結合領域

Sタンパク質…スパイクタンパク質(spike protein)。コロナウイルスの表面のトゲトゲ。「S」とだけ表記することもある。

Nタンパク質…ヌクレオカプシドタンパク質(nucleocapsid protein)。コロナウイルスの遺伝子を包む殻。「N」とだけ表記することもある。

抗体…抗原(ウイルスなどの異物)と結合して、それを排除するために生体でつくられるタンパク質。「免疫グロブリン」(Ig:Immunoglobulin)と呼ばれる。次のような働きをする。

  • 抗原の働きを失わせる(中和抗体)
  • 補体と呼ばれるタンパク質をまわりにくっつけ、補体の働きを活発にして細胞を壊したり細菌を殺す
  • 異物をそっくり食べて処理する貪食細胞[どんしょくさいぼう]と呼ばれる免疫担当細胞の一種に食べられやすい形にする

→ Ig(免疫グロブリン)
抗体(Wikipedia)

スパイクタンパク質…→ Sタンパク質

中和抗体…(新型コロナウイルスの場合)S-RBDがACE2に結合するのを阻害する作用を持つ抗体の総称。S-RBD IgG 抗体(スパイクタンパク質受容体結合領域に対するヒトIgG抗体)など。

新型コロナウイルスの中和抗体とは?(Medical Export)

ヌクレオカプシドタンパク質…→ Nタンパク質

免疫グロブリン…Igを参照

メモ

抗体関連デマ

新型コロナワクチンによってIgM抗体が増えて脳梗塞?!

(新型コロナワクチンによって)粘稠性の高いIgM抗体が一気に増えれば動脈硬化がある方に脳梗塞が起きる
https://twitter.com/nakanaka147/status/1442175216617078785

血管詰まるぐらい増えるにはIgMであっても正常の数倍必要です。ワクチン程度でそこまで上昇しない。
https://twitter.com/car19_t/status/1442268730981896196