2021年6月15日付けの日本経済新聞に昭和食品工業株式会社から上のような「意見広告」が掲載されました(この記事の最後に大きな画像あり)。
残念ながら、広告の下段(下図)が新型コロナに関する古いデマだらけなので、その誤りを指摘したいと思います。
広告に記載されている参考図書について
本題に入る前に、「意見広告」に記載されている「参考図書」が気になったので、それについて。
- 『本当はこわくない新型コロナウイルス』
- 『新型コロナが本当にこわくなくなる本』
- 『コロナとワクチン 新型ウイルス騒動の真相とワクチンの本当の狙い』
この参考図書を見ると、「現在の新型コロナの感染対策を否定したい」という気持ちが先にあって、その願望を満たしてくれるような本ばかりを探して参考にしたとしか思えない選択です。偏りすぎです。わざわざデマ知識をかき集めてるようなものです。
感染者数とは?
指摘したい文の右側に線を引き、番号を付けました。
感染者数とは? (1)
「たまたま鼻や喉の粘膜についていたウイルスがPCR検査で陽性になっただけ。感染とは言えない」「陽性者=感染者ではない」という古いデマを主張されているのだと思います…。
たまたま鼻や喉の粘膜についていた程度のウイルスではPCR検査で陽性にはならないんです。体内でウイルスが増殖したときのウイルス量がなければ検査で陽性にはなりません。
PCR検査でRNA抽出に必要なコロナウイルスの量は10の11乗個(1,000億個)だと試算されますが、検体採取→検体輸送→RNA抽出→PCR検査という過程で採取部位のウイルスを100%回収することは不可能であり、RNA変性等が起きるとウイルスRNAの量は減り、更にRNA抽出の過程でもウイルスRNAを多量にロスします。
なので、体内でウイルスが増殖したときのウイルス量がなければ検査で陽性にはならないのです。これはPCR検査の実際の運用でも確認されていることです。
大阪大学免疫学フロンティア研究センター、宮坂昌之教授(動画)
1個の細胞に1個ウイルスが入ると10時間経つと1,000倍になって出てくるんですよ。
一方、粘液の上にはウイルスを殺す酵素ってたくさん存在するので、少数のウイルスが飛び込んできて喉の上に座り込んでもそれは我々の自然免疫がみんな殺してしまうわけです。
ウイルスが陽性となって出るときには、さすがに、粘液の層をウイルスがつらぬいて細胞の中に入って10時間後に1,000倍になった、この状態で陽性になってるんですね。ですからたとえば1,000個の細胞が陽性になれば、1,000X1,000つまり100万個のウイルスが細胞の外に出てくる。そうするとこれが簡単に陽性になる。そういうのが多くの人の、PCR陽性の多くの人の状況
感染者数とは? (2)
まず、揚げ足取りで申し訳ないのですが、「無症候性感染と言います。…感染者として報道されている」とおっしゃっている通り、「感染した人」を「感染者」と呼ぶことは何も不思議なことではありません。
まぁそれはともかく、「陽性者=感染者ではない」という主張は、「感染者数とは? (1)」で説明したように間違いであり古いデマです。
PCR検査は非常に正確な検査です。PCR検査の「陽性者=感染者」という認識で問題ありません。
参考記事:PCR検査の「陽性者」は「感染者ではない」は説得力がない
感染者数とは? (3)
日本政府はPCR検査に積極的であるとは全く言えず、世界の先進諸国の中では日本のPCR検査数は極端に少ないのが現状です。
新型コロナ、日本のPCR検査数はOECD加盟国36カ国中35位。世界と比べても際立つ少なさ(2020/4/30)
「延べPCR検査実施率」(総人口の中の検査回数の割合。一部の国ではより簡易な抗原検査なども含まれる)
香港 約74%
米国(加州オレンジ郡の場合) 約67%
グアム 約63%
豪州 約45%
イタリア 約45%
スイス 約44%
オーストリア 約44%
マレーシア 約11%
フィリピン 約6.5%
日本 約4.4%
従って「感染者数が誇張されている」というのは間違いで、逆に「感染者数が大幅に少なく見積もられている」「実際の感染者数は発表されている数値よりも遥かに多い」とみられています。
それから、私が知る限りですが、正しい知識を持っている人で「恐怖を感じる」と言ってる人は見たことがありません。正しい知識を持っている人は、必要かつ適切な対策を淡々と行っています。それが「正しく恐れる」ということです。
「恐怖を煽っている」というような表現は、むしろ、デマッター(デマ拡散者)が感染対策を邪魔するため・事実を隠すために使う決まり文句の1つです。騙されないようにしましょう。
しかも今のCt値は、何の意味もない!?
指摘したい文の右側に線を引き、番号を付けました。
しかも今のCt値は、何の意味もない!?(1)
古いデマです。
WHOはそんなことは言ってません。
this is not true. The WHO information notice is not a retraction; rather, it is a clarification for laboratory professionals on how to interpret PCR results. It does not mention anything about “35 cycle amplification threshold”, nor does it say PCR test results are invalid.
これは真実ではありません。WHOの通知は撤回を意味していません。むしろ、PCRの結果をどのように解釈するかについて、実験室の専門家に向けて明確化する内容となっています。「Ct値35」については何も言及されておらず、PCR検査の結果が無効であるとも述べていません。
しかも今のCt値は、何の意味もない!?(2)
この段落に書かれていることは、全体的に誤りです。
PCR検査とCt値については、少々専門的な話になるため、シロウトがきちんと理解するにはそれなりの時間と労力と理解力が必要です。デマッターはそこに付け込んで、シロウトには難しい話を単純なデマにすりかえて騙してくるので気をつけてください。
たとえば、専門家がしていることを差し置いてまで「今のCt値は何の意味もない」と豪語するのであれば、次のことくらいは理解した上で言うべきだと思います。理解されていますか?
- Ct値は設定値ではなく測定値です。実測Ct値は検体によって変わります
- 閾値(Threshold, Threshhold Line, 判定基準Ct値)、実測Ct値、カットオフ値(それ以上の値なら無効)、total cycle(必要運転回数)の区別できてますか?
- 日本でよく言われる40という値は感染研推奨のカットオフ値のことでしょう(グラフの形を見るために少し多め)
- total cyleは45くらいになってることが多い
- 全陽性の97%がCt値<35で判明してます
- Ct値はプロトコル(試薬や機器の特性・条件等)によって変わりますから国同士の比較は意味が無い
- Ct値だけでなく時間軸も考慮する必要があります
- しきい値は検査機メーカーが決めるか、基本的にはソフトウェアが自動的に決めます(手動設定も可能)
- Ct値が高くても感染力のあるウイルスが存在します
上記のことが理解できていない(できない)のであれば、Ct値がどうこう口を挟むのはすぐにやめたほうが賢明でしょう。
緊急事態宣言ではなく、緊急課題?
指摘したい文の右側に線を引き、番号を付けました。
緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (1)
間違いです。
まず、新型コロナ感染症の分類は「2類」ではなく「指定感染症の2類相当」でした。「指定感染症」というのは必要に応じて柔軟な運用が可能な分類であり、「2類」と「指定感染症の2類相当」では全く違う話です。
そして、「でした」と書いた通り、新型コロナ感染症の分類は、2021年2月13日の施行(2月3日可決・成立・即日公布)ですでに「新型インフルエンザ等感染症」に変更されています。
参考:新型コロナ「感染症法・特措法」何が変わったかー入院措置の強化、まん延防止等重点措置等の導入
緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (2)
間違いです。
2020年2月12日、東京都医師会が定例記者会見で示したリーフレットの内容を曲解したデマを鵜呑みにされています。
東京都医師会がこの会見で示したリーフレットのタイトルは「(記者会見資料3)新型コロナウイルス感染症に関する都民の皆様へのお願い」です。
そこに書かれていたのは
- 「予防策について もっとも大切なことは『標準的な感染症予防策』である
- 『通常のインフルエンザ流行期と同様の対応』をすればよい
ということでした。
つまり、東京都医師会は、意見広告に書かれているような「新型コロナはインフルエンザと同等もしくはそれ以下」などということは一言も言っておらず、「都民にお願いする感染症対策としては、インフルエンザの場合と同様で構いません」と言っているだけです。従って、意見広告の「第5類の扱いが相応ということ」というのも、当然、間違いです。
上のリーフレットが示された2020年2月12日といえば、まだ新型コロナのことが何も分かっていないといっても良い時期でした。
いまでこそ新型コロナに有効な感染対策について詳しく分かってきていますが、当時、「とりあえずインフルエンザへの感染対策と同じで良い」という通知を出したのは仕方ないことでしょう。
ひょっとしたら、2021年2月13日に、新型コロナ感染症の分類が「新型インフルエンザ等感染症」に変更された件とも混同していますか? 念のため、それについても説明しておきましょう。
「新型インフルエンザ等感染症」への変更は、もちろん、意見広告が述べている「インフルエンザと同等もしくはそれ以下」ということではなく、「第5類の扱いが相応」ということでもありません。従来の「指定感染症の2類相当」よりもより厳しい措置が可能な内容になっています。
具体的には、次のような点でより厳しくなっています。
- 政令指定で時限的に適用していたものを「新型インフルエンザ等感染症の一類型」として法律上明確に位置付けた。これにより感染症法が恒久的に適用されるようになった。
- 患者(無症状感染者を含む感染疑いのある者を含む)が積極的疫学調査への協力を拒否した場合、協力を命ずることができるようになった。違反者に対しては30万円以下の過料が課される。
- 高齢者など重症化のおそれがある患者には入院を勧告する。従わない者には入院させることができる。
- それ以外の患者には宿泊療養・自宅療養の協力を求める。従わない者には入院の勧告および入院措置をすることができる。正当な理由なく入院しなかったときには50万円以下の過料が課される。
- 厚生労働大臣および都道府県知事が協力要請できる対象として、従来の医療関係者に加えて、民間検査機関を追加し、正当な理由がなく協力しなかった場合は「勧告」を行うことができ、勧告に従わない場合にはその旨を公表できるとした。
- 特措法が新型コロナに時限的に適用されていたが、恒久的に適用されることとなった。
- 新型コロナがまん延し、国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合には、まん延防止等重点措置を公示することができるようになった。緊急事態宣言のように全国的なまん延を要件とはせず、限定された区域でのまん延状態が生ずることで公示できる。
- 特定の業態の事業者に対する営業時短要請等が可能になった。営業時短要請に従わない事業者には要請されている措置をとるよう命ずることができ、命令違反に対しては20万円以下の過料が課される。命令を行ったときは、その旨を公表することができる。
- 緊急事態宣言に基づく営業自粛や営業停止などの協力要請に従わない事業者に対する「指示」を、「命令」に格上げし、命令違反に対しては30万円以下の過料を課すことができることとした。
参考:新型コロナ「感染症法・特措法」何が変わったかー入院措置の強化、まん延防止等重点措置等の導入
また、5類にすれば解決するような問題ではないことも理解すべきでしょう。
医療崩壊が起きた理由は、外野の人達が思うほど単純ではなく、新型コロナ患者の受け入れに伴う特殊な問題がいくつもありました。
感染対策設備の問題、日本の医療システムの問題、ベッド確保の問題、お金の問題、専門医師を含めた人材リソースの問題、その他の複雑な問題がありました。詳しくは「「感染症の分類を5類にすれば医療崩壊しなかった」はデマ」を参照してください。
緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (3)
インフルエンザが激減した理由として、ウイルス干渉を挙げる人もいますが、それよりも新型コロナ対策として行われた歴史上初めての世界規模の感染対策が有力な説だと考えられます。
ウイルス干渉説が説得力に欠ける理由は、ウイルス干渉が起きるためには干渉しあうそれぞれのウイルスがある程度流行しないと干渉そのものが起きないからです。(2019年までは)例年のインフルエンザの流行は11月下旬から始まり1月下旬から2月上旬にピークを迎えるわけですが、その時期すでに新型コロナが日本のみならず世界中で広く流行していたという想定は無理があります。
東京の抗体検査が6月で0.1%なのに4ヶ月前にウイルス干渉はあり得ない。記録的な暖冬とCOVID-19で高まった公衆衛生意識がインフルにも影響したと思われる。意識の変化は2月には衛生商品が店頭から消えていたことからもわかる。
多くの人が新型コロナウイルスの感染予防でマスクや手洗いをしていることが、インフルエンザ患者を減らしていると思われます。インフルも新型コロナも飛沫と接触で感染するので、コロナ対策がインフルエンザ予防になっているのでしょう
WHOは「手洗いなどの衛生対策や旅行規制などの移動制限により、流行しなかった可能性がある」と理由を分析した。
富山県衛生研究所の大石和徳所長(感染症学)は「市中でのウイルス干渉の可能性は否定できないが、その明確な仕組みは分からない」と話す。マスクや手洗いの徹底が、インフルエンザの流行を抑えているとみる。
インフルエンザ患者激減 新型コロナとの同時流行気配なし?「ウイルス干渉」の可能性も
呼吸器感染症や感染性胃腸炎など飛沫感染、接触感染によって広がる感染症は、コロナへの感染対策によって減少したと考えられます。
オーストラリアで新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行中
AUSTRALIAN INFLUENZA SURVEILLANCE REPORT
EARLのコロナツイートグッバイ、「ウイルス干渉論」 コロナがチョロいウイルスと言いたいがためにウイルス干渉を堂々と持ち出したコロナ論を読んでるみんなー!息してるかー!?
路傍の在宅医S@M.D./Ph.D.
緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (4)
インフルエンザが激減した理由はともかく、それがどうして「他のウイルスが蔓延したという証」になるのか、理解に苦しみます。
もちろんそんな「証」はありません。
事実は、(新型コロナを除いて)インフルエンザだけでなく、その他の感染症(ウイルス)も軒並み大幅に減少している、ということです(これはインフルエンザ激減の理由が感染対策によるものだという説を裏付けます)。
インフルエンザだけでなく、今年は水痘(みずぼうそう)や手足口病、流行性角結膜炎といった感染症も減少しています。
マイコプラズマ肺炎、RSウイルス感染症、A群溶連菌性咽頭炎といった飛沫感染する感染症は軒並み激減しています。
麻しん・風しん・おたふくかぜ・水ぼうそうも減少
接触感染で広がる感染性腸炎も減少
代表的な輸入感染症であるマラリア、デング熱が激減
「他のウイルスが蔓延したという証、ということは、大半が(新型)コロナウイルスに感染していて免疫も獲得している」という論理展開もよく分かりませんね。論理が飛躍してます。
いずれにしろ、「他のウイルスが蔓延したという証」は前述したように否定されますから、「ということは、」以降も否定されます。
あえて付け加えて言うなら、仮に「大半が(新型)コロナウイルスに感染していて免疫も獲得している」のであれば、抗体検査で分かることですが、そういった事実はありません。また、大半がすでに免疫を獲得しているなら、新型コロナの感染者や死者も下図のように激しく増えたり減ったりしません。
緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (5)
新型コロナ感染症の分類は「第2類」でないことは前述しました。→「緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (1)」
「無意味なPCR検査」ではないことも前述しました。→「感染者数とは? (1)」
医療崩壊が起きた理由は「第2類」のせいでもなく「PCR検査」のせいでもないことも前述しました。→「緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (2)」
緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (6)
前述のとおり、まだ新型コロナの免疫を持ってない人が多いです。→「緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (4)」
緊急事態宣言ではなく、緊急課題? (7)
前述したように、誤った知識と誤った理解から導き出された誤った認識です。
スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?
指摘したい文の右側に線を引き、番号を付けました。
スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?(1)
スウェーデンのその政策はすでに失敗しました。2020年12月17日、スウェーデン国王が政策の失敗を認め、スウェーデンは政策の転換を行っています。
BBC NEWS(2020年12月18日)
グスタフ国王は毎年恒例のテレビ演説で、「私たちは失敗したと思う。たくさんの人が亡くなったのはひどいことだ」と述べた。
スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?(2)
これは私(ブログ主)の主観ですが、日本の政治家はむしろ危機感が足りませんでした。
感染症の専門家はもっと厳しい対策を望んでいましたが、政府の認識と思慮は足らず、考えは甘く、やることが常に中途半端な上に後手後手になったため、新型コロナの感染をなかなか抑えきれずに事態がズルズルと長引くことになりました。
私が知る限りですが、正しい知識を持っている人で「恐怖を感じる」と言ってる人は見たことがありません。正しい知識を持っている人は、必要かつ適切な対策を淡々と行っています。それが「正しく恐れる」ということです。
「恐怖を煽っている」というような表現は、むしろ、デマッター(デマ拡散者)が感染対策を邪魔するため・事実を隠すために使う決まり文句の1つです。騙されないようにしましょう。
スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?(3)
「2020年8月のドイツの130万人規模の大規模デモ」ってこれのことでしょうか?
2020年8月1日土曜日
ドイツのベルリンのストリートで130万人の人々がマスク、ワクチン、新型コロナの嘘に抗議
これもデマです。この写真(動画)は2018年8月13日にスイスのチューリッヒのパレードで撮影されたものだということが分かっています。
ヨーロッパで数千人~数万人程度の陰謀論者・デマッター達のデモがあったのは事実のようですけれど。
スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?(4)
正しくない認識です。
スウェーデンは、都市封鎖(ロックダウン)はまだ実施していないものの(2021年3月頃に計画はあり)、国境封鎖、営業停止、外出自粛、ソーシャルディスタンスは行っています。マスクは「推奨」になりました。
REUTERS(2020年5月13日)
第2に国民は保健当局など政府を信頼しており、そのためロックダウンを強制しなくとも、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の指針におおむね従った。
東京新聞(2020年11月18日)
ロベーン首相は16日の記者会見で「社会全体の新しい規範だ」と新たな集会規制の順守を呼び掛け、「ジムや図書館へ行かないでください。夕食会は開かず、キャンセルを」と自制も求めた。
THE WALL STREET JOURNAL(2020年12月8日)
晩秋の新規感染者の急増で入院者や死者が増加し、国民の自主的な措置でコロナ流行に対抗するという、欧米では特異な取り組みをスウェーデン政府は断念した。
ステファン・ロベーン首相は11月22日、テレビで国民に対して全ての不要不急の集まりを取りやめるよう熱心に訴え、9人以上の集会の禁止を発表した。その結果、映画館などの娯楽施設が閉鎖されたほか、12月7日から高校も閉鎖される。
しかし、欧米で最初のコロナワクチンの使用が先週、英国で許可され、スウェーデンの死亡率は隣国よりも依然として高いままであり、テグネル氏は11月下旬に感染の再拡大は同国で集団免疫獲得の「兆しが見えない」ことを示していると認めた。
一方、スウェーデンの放任主義的なコロナ戦略は、提唱者が予測したほどの経済的メリットをもたらさなかった。中央銀行と複数の経済機関によると、スウェーデンの上半期の国内総生産(GDP)は8.5%減少しており、失業率は2021年初めに10%近くに上昇する見通しだ。
JIJI.COM(2020年12月20日)
スウェーデン政府が、方針転換を図っている。ロベーン首相は18日、公共交通機関での混雑時のマスク着用を初めて推奨。これまで比較的緩やかな対策にとどめてきたが、秋以降感染が再拡大し、カール16世グスタフ国王が「失敗した」と異例の政治批判をしていた。
在デンマーク日本国大使館より通知(2020年12月21日)
本日スウェーデンの内務大臣が記者会見を行い、12月22日深夜(午前0時)から2021年1月21日まで、デンマークとの国境を閉鎖すると発表しました。
BUSINESS INSIDER(2021年3月2日)
ステファン・ロベーン首相は、同国初のロックダウンを実施する可能性があると述べた。
隣国のノルウェーとデンマークの国境を封鎖し、政府に飲食店や小売店、公共交通機関を閉鎖する権限を与える法律を施行した。
規制はさらに強化され、ロベーン首相は、3月1日からアルコールを提供しない飲食店とカフェは午後8時30分に閉店、小売店とジムでは店内の人数を制限すると発表した。また、ショッピングモール内にある飲食店はテイクアウトのみの営業となり、アマチュアスポーツは休止される。
「三密」というのはもともと日本発の標語ということもありますが、スウェーデンと日本は人口密度が違うので、スウェーデンではあまり気にならないのかもしれません。 前述のようにソーシャルディスタンスはやっていますけど。 間違いです。 前述したように、2020年12月の中旬、スウェーデンは、当初の緩い政策が失敗だったことを認め、より厳しい政策に舵を切っています。 超過死亡でもスウェーデンは最悪クラスです。 そして、経済的にも成功しませんでした。 最も最悪なのは、高齢者施設へ感染者を留め置いて、大量のクラスターを出し、その方々には治療せずモルヒネを投与していたことです。 いきなりノーガード政策での集団免疫を目指したスウェーデンは、 成功どころか、最も失敗した国家の1つです。 話題の北欧のCOVID-19対策と経済活動の論文。 スウェーデンでは、「経済に利益をもたらすために」COVID-19の対策を緩くした結果、発症と死亡がすごく増えた割に経済活動には良い影響をもたらさなかった、とのこと。 これすごい論文。 スウェーデンのコロナ対応について ・(無謀な)集団免疫を目指した ・マスクの効果や無症状の人から感染するなどの基本的な情報提供もなし ・高齢者には酸素の代わりにモルヒネが使われた などなど痛烈に批判。 「反省しろ」という感じで締められてる。 昭和食品工業さんの意見広告の上段については、異論を挟む人はいないでしょう。私も飲食業(それからコロナ禍で被害を受けているその他の業種)の方達のご苦労を思うと、「何とかできないのか?」「政府は何をしてるんだろう」とジリジリする気持ちになります。応援したいと思っています。 でも、嘘はいけません。 意見広告の下段については、この記事でご指摘させていただいたように、残念ながら、ほとんどデマです。 私はよく存じ上げておりませんでしたが、昭和食品工業さんはいくつものチェーン店を展開している、それなりに大きな会社のようですね。そのような会社が新聞に掲載するメッセージは、大きな社会的影響力を持つのだろうと思います。 そのような会社が、デマッターに騙されてまたそのデマを流していたら、彼らの思う壺です。新型コロナの感染の収束を先延ばしにしてしまい、自らの首を絞めることになりかねません。 とりわけ社会的な影響力のある方達には、誤った情報を流さないよう、情報の発信前に第三者を交えてよく検証・検討していただいてから、発信を行っていただきたいと願っています。 ネットで拾った画像ですが、昭和食品工業さんの意見広告のオリジナルと思われる画像です。スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?(5)
スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?(2022/5/13 追記)
知念実希人 小説家・医師スウェーデンの対策から 真実を学び 共生の道を歩むべき!?(2022/9/26 追記)
Coronavirus pandemic in the Nordic countries: Health policy and economy trade-off(2022/8/8)
DIO 総合診療医
Evaluation of science advice during the COVID-19 pandemic in Sweden(2022/3/22)
手を洗う救急医Taka最後に
オマケ:意見広告(オリジナル)